「いま、やるべきこと」Vol.6


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  ■避難所巡回報告(石巻地区)


■避難所巡回報告(石巻地区)
 
3月31日(木)
 石巻地区の避難所を6名の理学療法士宮城県、石川県)と7名の保健師(福岡県)で巡回してきました。
 高速道路がつい昨日(30日)開通したものの、街には地震から3週間経った今でも津波で流された沢山の瓦礫や泥でいっぱいでした。集合場所となった石巻市役所は、電気は復旧していましたが、水道は完全復旧には至っておらず、海水の匂いが充満し、泥で汚れている箇所も沢山ありました。

 活動内容を簡単に記します。
石巻市役所集合(福岡県の保健師チームと合流)、打ち合わせ(午前9時)
②PT・保健師の混合2チームに分かれ避難所を巡回(午前、午後)
保健師チームの調査にて予めリハの必要と思われる対象者がリストアップされており、今回は保健師に同行しPTによる身体機能評価を行った。避難所不在の際は、自宅への訪問も行った。
③巡回後の報告会(午後4時頃)

 私は石巻好文館高校(午前)と大街道小学校(午後)を巡回しました。1日の中で、私が直接身体に触れてリハビリの指導を行えた方は、わずか2名でした。

ケース①:80代男性で、ほぼ寝たきり状態。
介入時失禁あり、殆ど交換されていない布団や毛布の中、側臥位で寝ていました。廃用症候群はまさに現在進行中であり、右大腿骨部大転子部には褥瘡(表皮剥離)も認められました。病院や施設のようにオムツやシーツを適宜交換出来る状況に無く、この日は巡回した私と保健師で交換しました。その現場に石巻市の包括支援センターの職員が巡回していたため、褥瘡の処置と早期の施設入所が必要である旨を伝えました。

ケース②:50代女性、糖尿病、変形性膝関節症、高度肥満
避難所には当然ベッドは無く、段ボールか毛布などを敷いて床に寝ることしか出来ません。この方は両4点杖歩行が可能でしたが、布団で寝る動作は膝に大きな負担がかかる為、椅子座位で机に伏せて就寝しているとのことでした。下肢の静脈還流も悪く、糖尿病のフットケアの重要性から考えても、とても好ましくない状況でした。とりあえずは簡易ベッドの導入を検討してもらうことになりました。

 どちらのケースも、リハビリの介入以前に、衛生面を解決すべきところが大きいように感じました。

 今回私が初めて巡回させて頂いた地域は、津波での被害が大きい地域であり、ご自身の身体の心配をするよりは、今後の生活はどうなるのか、どうすれば良いのかという心配が強く、理学療法士が介入する以前の問題が沢山あるように思いました。

 最後に、初めてボランティアに参加させて頂きましたが、津波被害の現実を目の当たりにしたことと、1日の活動でわずか2名への介入しか出来なかったことで、『無力感』いっぱいになりました。しかし、微力ながらでも一理学療法士としてだけでは無く、一人間として、瓦礫撤去作業なども自分に出来ることを今後も続けていきたいと思います。
(報告者:田作豊)

参加者:黒木(東北福祉大学)、鈴木・西山(東北文化学園大学)、丸田(まるた老年リハビリ研究所)、早坂(グレイスガーデン)、田作(仙台医健専門学校)
  

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